医療的ケアを必要とする子どもへの支援〈2〉~インクルーシブ教育

2013年4月23日 17時09分 | カテゴリー: 活動報告

<医療ケアを必要とする子どもへの支援②~インクルーシブ教育~>

2006年に国連で採択された「障害者権利条約」は、「障がいがあっても必要な合理的配慮と支援によって通常学級で学ぶことができること」「障がいを理由に一般教育制度から排除されないこと」「自己の住む地域において、インクルーシブで無償の初等教育及び中等教育にアクセスできること」など「インクルーシブ教育」を受ける権利の保障を求めています。

 日本でも、条約批准に向けて、2011年7月に『障害者基本法』が改正され、「障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が可能な限り共に教育を受けられるよう配慮すること」が規定されました。「共に教育」とは、障がいの有無に関わらず小中学校の通常学級で教育を受けることを指しています。また、「本人と保護者の可能な限りの意向尊重」、「人材の確保及び資質の向上」が追加され、医療的ケアを必要とする児童生徒への対応も充実させる必要があるとしています。
文部科学省も、小中学校等において、原則として看護師等を配置又は活用しながら、一定の研修を受けた介護職員が医療的ケアを行うことを認める指針を定めました。
東京都教育委員会も、特別支援学校以外での学校における医療的ケアについては、市区町村が独自の判断で実施する場合には、医師、保護者等との連携・協力のもと、看護師等の配置をするなどの体制整備を図ることとしています。

 大阪府では、医療的ケアの必要な子どもが保護者の付き添いなしで一般の小中学校に通えるように、看護師資格を持つ介助員を配置する制度を導入しています。そのために2011年度には、大阪府全体で164名、大阪市でも42名が地域の小中学校に通っています。その他、流山市では、通常学級だけでなく、学童保育にも通えるように対応しています。
世田谷では、こうした事例はなく、地域の学校で学ぶ「医療的ケア」が必要な子どもの数には地域差があるのが現状です。

世田谷区議会第1回定例会一般質問で、医療的ケアの必要な子どもが通常学級を希望した場合には、世田谷区でも保護者の付き添いなしで通学できるように、看護師の配置などの対応を求めました。
教育委員会は、今後、先進事例なども参考に研究を進めるとともに、具体的相談については、学校、保護者等の意見を聞き、必要な対応に努めるとしています。

 世田谷区では、障がいによっては、通常学級に通う場合、保護者の付き添いが当たり前のように求められ、そのために仕事を辞めて対応したり、ボランティアを自費で雇っているケースもあります。これは、子どもの自立の上でも問題です。

 教育の平等を保障すること、また誰もがお互いの人格と個性を尊重し、多様性を認め合える「共生社会」実現のためにも、インクルーシブ教育をしっかり進めていくことが必要です。そのためには、「インクルーシブ教育」を教育ビジョンやノーマライゼーションプランなどの計画の中に位置づけるべきです。
これについて一般質問で求めたところ、区は、「障害者基本法に基づく『せたがやノーマライゼーションプラン』は、平成17~26年度を計画期間としている。今後、新たな計画策定にあたっては、インクルーシブ教育など国の『新障害者基本計画』の内容を踏まえ検討する」と回答しました。

 障がい者は人間として当たり前のことを求めているのに、本人や家族に負担を強要され、社会から排除されてきました。
2013年3月現在、国連が採択した「障害者権利条約」の批准国はすでに130カ国ですが、日本は未だに批准をしていません。

 障がいがあっても、誰もが尊重され、違いを認め合える人権尊重社会実現のために、これからも障がい者・障がい児対策に取り組んでいきます。

*インクルーシブ教育・・・障がいの有無によらず、誰もが地域の学校で学べる教育。
*ノーマライゼーション・・・障がい者や高齢者など社会的に不利を受けやすい人々(弱者)が、社会の中で他の人々と同じように生活し、活動することが社会の本来あるべき姿であるという考え方。